「僕は毎晩2時間旅をする」(全文)・そして。

上野発青森行きの高速バスのチケットを予約した。

今年の夏の旅はここから始める事にする。
2011年に東北に行く事は、とても意味があるように思う。

47都道府県、あと2つ。
その1つが最初の目的地、青森。

本州の北の端から、大阪に戻ってくる。
在来線とバスを乗り継いで。
とにかく移動する。

秋の個展に向けての、最終凝縮作業。
最先端のアートシーンに触れることも、もちろん良い刺激になるが、
もっと自らが体験する事で、取り込んでいけることをする。
夏はそういう季節にしたい。

そして、日常にまみれている心を、良い意味で空っぽに近づけるように。
家に帰って来た時、凝縮された世界を気持ちよく描けるように。

そんな期待をしつつ。

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以下の文章は僕の日々の制作の根本にあるようなことをこのブログを始める際にも、タイトルに選びました。
日常の中の「旅をすること」
ちょっぴり日常を離れて、物理的に「旅をすること」
この両輪が、僕の絵をかく原動力になっています。


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「僕は毎晩、2時間旅をする」

電車の窓から外の景色を見ている事が好きだ。
目の前に現れては通り過ぎていき、
どんどん流れていく風景。
見ているものの残像だけが記憶として積み重なっていく。
つみどんどん重なっていく記憶の澱は混ざり合いながら、
僕の中に入っていく。

車窓から見た45都道府県。
あと2つ。
全部行けば良いってもんではないけど、行ったぞという事実を感じることも、
旅の醍醐味なのではないだろうか。
良く乗っている阪急電鉄京都線の車窓も、それはそれで良いが、
初めてのるローカル線からの風景は格別だ。

海に沈む夕陽、
迫ってくる緑の木々、
人気のない暗い路地、
青すぎる夏の田んぼ、
トンネルに吸い込まれる鉄の線路。
雑然としていて、とりとめもないところが、いかにも日本らしく美しい。


“通り過ぎていく一瞬の景色は、同じようで違う景色。
生きている毎日は、いつもと同じようで違う毎日。”


現在、
僕は某デザイン系専門学校で基礎造形の教員をしていて、
週5日はおおよそ決まった時間の中で生活をしている。
普段は家に帰ってきてからの、夜の数時間が作品に向き合う時間になっている。
僕の絵を描くことははがき大くらいの小さな紙にドローイングする事から始まる。
なるべく次の展開や打算的なことは考えずに、記憶が新鮮なうちにどんどん描いていく。
これは自らの目で見たもの、体験したことを身体にとり込む作業。
そして、描いて出すことを繰り返しながら、タブロー作品への純度を高めていく。


“絵を描く事は、
はっきりしているようでとてもあいまいな世界を、
手ざわりのある距離に実体化していく作業、
記憶の記録です。”


もちろん、毎日どこかへ出かけるわけではありません。
僕の毎晩の旅の行き先は、小さな家の小さなアトリエです。
慌ただしく通りすぎる毎日の中で、少なくとも夜に旅をする気持ちで絵を描こう。
そんな旅の記録が、見る人にとって普遍的な記憶になればうれしいです。


*先月に、2009-2010年・第23回ホルベインスカラシップの冊子「アクリラート別冊2011」が発行されたので、僕の文章を全文掲載します・一部改編)
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旅の記録と日々の諸々の記憶。

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