「カオスモス・ペインティング」平田剛志氏/ 個展「星々の悲しみ〜blue on blue〜」

中島麦TOKIO OUT of PLACE


現在、開催中の個展(〜10/27日)「星々の悲しみ」blue on blue」によせて、
京都国立近代美術館研究補佐員であり、現代美術批評家の平田剛志さんに、
テキストを執筆して頂きました。

展覧会と合わせてご覧下さい。


*上記の写真はTOKIO OUT of PLACE(東京・広尾)で開催された
「星々の悲しみ〜blue on blue〜」の様子。(2013/8-9)



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「カオスモス・ペインティング」

平田剛志


 中島麦の新作「星々の悲しみ」は、カオスモスな絵画の始まりなのかもしれない。

 これまでの中島の絵画は、「アクリル絵の具の鮮やかな色彩とベタ塗りを重ねた色面で構成され」*1た抽象画であった。風景をもとにドローイングの蓄積によって生れた安定感のある構図や色彩は、コスモス(秩序)と言ってもいいだろう。対して、今展では異なるテクスチャー、技法による2種類の絵画の組み合わせによって構成されている。

 ひとつは、絵の具の流動的な滲みや重なりが動的、偶発的なフォルムを形成し、もう一方は、画面全体にアクリル絵の具一色が塗られた静的な絵画である。前者はアンフォルメル、抽象表現主義の絵画やサム・フランシスの作品を思わせ、後者はハード・エッジのエルズワース・ケリー、カラー・フィールド・ペインティングのバーネット・ニューマン等の絵画を想起させるだろう。それら2種類の絵画は、秩序(cosmos)と混沌(chaos)、静と動、単純と複雑、ディオニュソス的とアポロン的、論理と感性の対比であり、C・グリーンバーグ、H・ヴェルフリンに倣えば「絵画的であること(ペインタリネス)」と「線的(リニア)」といった両極端な絵画によって成立している。だが、グリーンバーグも述べるように、絵画的と線的の絵画の境界線は固定したものではない。

 カオスモスとは、カオス(混沌)とコスモス(秩序)の合成語である。中島は、異質な2種類の絵画を組み合わせて展示することで、ひとつのカオスモス(chaosmos)な絵画空間を構築するのである。そして、2種類の絵画の組合せには厳密な法則はなく、空間に合わせてインスタレーションされるという。宇宙が季節や時間によって「妙なるリズムとともに限りなく変転してる」*2ように、「星々の悲しみ」の絵画もまた展示される空間によって組合せや展示は変転・変化するだろう。中島は、異質なカオスとコスモスが共存する空間を可変的に構成することで、ポリフォニックな絵画のあり方を提示したのである。その試みは、まだ始まったばかりである。


*1 酒井千穂『中島麦 悲しいほどお天気:作品リーフレット』Gallery OUT of PLACE、2011.12
*2 宮本輝『星々の悲しみ』文藝春秋(文春文庫)、2008年、31ページ。

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中島麦_星々の悲しみ_表


中島麦 個展 nakajima mugi
『星々の悲しみ - blue on blue - 』
会期:2013年 10月4日 (金) - 10月27日 (日)

木曜 - 日曜 12時 - 19時
open : thur. - sun. 12:00-19:00
月火水 休廊 closed on mon,tue,wed,

会場:Gallery OUT of PLACE
630-8243奈良市今辻子町32-2
tel・fax 0742-26-1001
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